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覚書 ―断熱2― 


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ここからはちょっと細かい話になりますが最終的に
【どのグレードを選んだら良いのか?】を探っていきます。
 

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 まず一般的な基準について
 先日知り合いの工務店さんに聞いたのですが、そこではグラスウール16Kを使用しているとの事でした。
 うちはそれより良いの使ってるよ!!という建築屋さんもいるとは思いますが、会社がその規格を使い続けるという事はコストパフォーマンスが良いという事に他ならないと思います。
 コスパが良いという事はそれだけ売れていて、多くの会社がこの規格を使っているという事になります。
 という事で、一つの目安として一般住宅は16Kからと考えていきます。

さて、実際にDIYをする場合には「目標の設定」と「予算」の検討が必要になります。(何でも必要ですね)

 目標の設定についてですが“「プロ仕様」は敷居が高いしこんなもんでいっか。”と考える方がいますが、NO!といいたいです。

 とりわけ建築物の壁や床、天井を行う場合は後からちょっと直しが利かないですし、特別な技術は必要ありません。
 精度にこそ差はつきますが何より「人がいられる場所」を最低限とする方が後々の展開を考えても良いと思います。


私の経験上は「後から直すのが面倒な所」は十分に検討して投資すべきだと思っています。


前置きが長くなりました。では実際に検討に入っていきます。



性能の計算式

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これを元に計算していきます。


余談:壁の厚さ(断熱材のスペース)

それとなく105mmを想定していましたがこれは木造住宅の間柱が105mm角である事が多い為です。
 日本の伝統的な和室のように室内に柱が見えるようになっている真壁(しんかべ)の場合は105mmは入らないのですが、最近の住宅の主流はパネル等で覆い室内側に柱が見えない大壁(おおかべ)でこちらにはすっぽり納まります
 このような事からよほどの事が無い限り住宅の断熱材厚は105mmを使用していると考えています。

余談終わり


その前に、断熱1で「密度より厚さ」の方が効果有りと言った部分を検証していきます。

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このように、1ランクアップの効果は「厚さ」の方が顕著です。

では密度/厚さどちらかを頑張れば良いのか?を検証します。



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ホームセンターだけを見ていると10K/50mm厚の商品が多く、これが普通なんだと思う方も多いと感じたのですが “厚さが2倍必要” と言われると怪しさが伝わるでしょうか。


では、実際に10K/50mm厚の商品を検証してみます。


 厚さ(m)÷ 熱伝導率=熱抵抗値

 0.05(m)÷ 0.050 = 1.0

2重(10センチ)にしても2.0

温暖な地域の最低基準2.2にも届きません。

この材料で満たす場合、温暖地域で11センチ(2重強)、寒冷地域で16.5センチ(3重強)ということになります。

壁厚10.5センチが相場(余談参照)ということは、ホムセンの材料では対応できないということになります。

合わせて、密度だけでも、厚さだけでもダメだということが分かります。



ついでに、密度16K(熱伝導率0.045)を見ると、

50mm厚の場合
16K = 1.1

105mm厚の場合
16K = 2.33



16K/105mmで基準を超え始めることが分かります。

一般住宅の基準になっている意味が分かりました。




 さて、ここで面白い商品があったのでご紹介しておきます。その名も「高性能グラスウール」!!

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何がすごいかと言いますと、ここまでのグラスウールに
「撥水性能」
「チクチクしにくい加工」
「密度ワンランクアップ」
 という性能を付加出来ていることです。

 これを元に計算をしてみると

高性能グラスウール
50mm厚の場合
16K = 1.3
24K = 1.4

105mm厚の場合
16K = 2.76  
24K = 2.91  
32K = 3.00 …
 となります。さすがに50mm厚では使えませんが105mm厚にした場合同じ厚さでワンランク上の性能を得る事ができます。
 しかしながら105mmの厚さでは3.3の壁はなかなか超えられないという事も分かりました。


実際には、パネルや石膏ボード、外壁などの断熱性も計算することになるので3.3も超えられるんだと思います。


総括として厚さは柱の寸法に左右されてしまう事から、その中で最大の厚さを使い、性能の届かない部分は密度を上げる事で対処するというのが最高の性能を逆算する上で役に立ちそうです。
 ややコスパというより性能を重視する話になってしまいましたが、それも含めてまとめると


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といった感じでしょうか。この辺りで性能のバランスはとれるので特価や知り合い等安く手に入るツテがあればよりお得に計画ができるという事だと思います。
 この次の次で触れる「吸音」においては「密度」が大きな役割を担いますのでシアタールームやパーティー会場、音楽室の用途をお考えの方は密度もないがしろにしないでいただきたいと思います。


 次は気密です。ここまでの断熱計画を100%長期間発揮させ続ける為には避けて通れない(難しくはないです。)部分になります。興味があれば参照ください。



→気密へ
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