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覚書 ―消防署目線の内装― 


制限の目的は避難と消火、出火防止!!

消防法は建築基準法の規定と重複したり異なる部分もある為、これもまた実態に合わせて相談が必要です。

目次
1.建築同意や消防用設備要件
2.防火管理者について
3.その他こまごま

1.建築同意や消防用設備要件
を飲食店についてまとめます。

建築同意

特殊建築物(飲食店は該当します)で面積100uを超えるものを『新築、増築、改築、移転、修繕、模様替、用途変更、使用』する場合は確認申請と合わせて消防庁または消防署長の同意を得る必要があります。条文を読んだ限りでは確認申請の検査機関が同意を得る手続きをするようです。

が!交渉はしてくれませんので、あらかじめ消防署に相談して、図面を作成する必要があるということになります。予定する図面はあらかじめ作っていってください。『指摘を受けて修正する』やり取りをイメージしてください。何も持たずに行っても話が進みません。

消防用設備要件

ここでは飲食店の場合で記述していきます。

上記『要同意物件』を『防火対象物』と言い換えますが、これには条件により消防用設備の設置が必要で、床面積300uを超える場合設置後に検査があります。(検査日はこちらから連絡)

と、その前に適用の除外を説明します。

居抜き物件などの既に存在する防火対象物は当時の規定を適用するというものです。
が!!次に該当する防火対象物(飲食店では100uを超えるもの)である場合は最新の法律に従わなければいけません。

1.当時の規定にも適合していなかった場合

2.増築または改築(工事後1,000u以上になるor元の建物の延べ面積の1/2を超える増改築)、『壁』に対する大規模な修繕や模様替えを行う場合

3.用途を変更して防火対象物に該当するようになった場合

4.特定防火対象物に該当する場合(大規模や地下街など)

居抜きにおいて一番深刻なトラブルは1番です。前の借主も飲食店をやっていたから大丈夫と思っていたら指摘され、大規模な設備費用がかかる上に工事完了まで許可がでないなど、開業出来ずに破産なんてこともあり得ます。設備工事を建物オーナーが拒否するなんてこともあります。

居抜きは基本リフォームを行うものですが2番に該当するかどうかは要チェックです。

用途変更は何でも出来る訳ではありません。新築した方が安いくらいの用途変更もあります。小さい規模であれば出来ないことはありませんが、浄化槽の場合まず交換ですし、床材や構造材はそのまま使用出来るものであった方が良いように思います。

さていよいよ設備要件です。

小規模な飲食店を検討している場合、適用除外にならない消防用設備等がネックになります。()内が設置要件です。

1.簡易消火用具(消火器など)
(150u以上、無窓の場合50u以上)

2.自動火災報知設備
(300u以上 無窓100u以上)

3.ガス漏れ火災警報設備
(地下道店舗合計500u以上 単独地階1000u以上)

4.漏電火災警報機
(300u以上)

5.非常警報器具および非常警報設備
(器具:収容人数50人以上、無窓20人以上 設備:地下道店舗合計300人以上収容)

6.誘導灯および誘導標識
(避難口誘導灯、誘導標識は原則全て 通路誘導灯は地階、無窓と11階以上は全て)

となります。もちろん全てではありませんが、概ね300u以上になると一気に必要設備が増えるようですので、超えている場合は入念に確認してくださいね。


2.防火管理者について
(設置は規模に関わらず必要です。)


防火管理者には甲種乙種があります。飲食店についてですが、床面積300u以上または30人以上の収容能力があるものは甲種それ未満は乙種となります。

取得方法は各地域にて講習を行っており、全国共通の資格となります。詳しくは『防火管理者』で検索ください。
甲種取得は10時間程度、乙種は5時間程度の講習で、費用は平成30年度より甲種7,500円、乙種6,500円となっています。(平成29年度より各1,000円の値上げです)



3.その他こまごま

3-1)火を出さない内装
基本的に材料は建築基準法に従い準不燃材料以上で変わりません。ですが、火の周りは不燃材料で厚さ12mm以上のものが推奨されるようです。細かいものをいくつか挙げていきたいと思います。

→火の周り
ガスコンロなどの火を扱う機材に接する面は不燃材料のもの以外置けません。これは普通の話ですね。コンロの口の端から○○cm距離を離した方が良いとか、接する部分の不燃材料は厚さ12mm以上は必要など写真を交えて丁寧に説明していただきました。一般的な家庭の事例で、表面は不燃材料で変化は見えなくとも下地材(木質パネル)はこげていたりするそうです。燃えないけど熱は伝わるのでこの辺りは盲点かもしれません。

→換気扇の位置と材料
換気扇の位置はガスコンロの上端(ゴトクの上)から高さ1m以上離れている必要があります。

材料は不燃のもので、流通品では金属製ということになりますね。

3-2)避難・消火の為の内装
ここでは窓やドアなどの『開口部』について。

消防法上の開口部の役割は建築基準法とは異なります。

建築基準法上の役割

採光や換気など

消防法上の役割

破壊可能な避難口または侵入口

となり、これが無い場所は危険な建物と判断される訳です。

したがって、消防法上は人が避難や侵入出来るように寸法と面積の制限がかかっています。

これに適合しないものを『無窓階』と呼び、禁止はされていませんが消防設備の規定がきびしくなっています。

寸法の制限
「直径1mの円が内接出来る開口部」または「幅75cm以上、高さ120cm以上の開口部」が2カ所以上あること。
さらに、開口部の下端が床から120cm以内であり、1m以上のスペースに面していること。

面積の制限
「上記開口部」と「直径50cmの円が内接出来る開口部」の合計面積が『その階の床面積の1/30以上』であること。(11階以上は直径50cm〜の開口部だけで1/30以上)

となっています。

破壊することになるので、窓の仕様にも制限があります。簡単に言うと壊しやすいものです。壊しにくいものは開口部として計算されませんのでご注意ください。

セキュリティー向上が唱われる昨今に侵入しやすいことが条件の法律なんて…あるものです。

さて、これは基本的な部分だけです。実際には「この窓は小さいよ」とか「棚の位置変えないと開口部としてカウントできないよ」とか「これもうちょっと離さないと燃えるよ」など、具体的で実地的な検討がされる分野なので、該当する場合は必ず相談に行ってください。

ちゃんと来る人には親切です。逆にちゃっかり者には厳しくなってます。直しは時間も費用もかかりますので必要な努力だと思います。



続いてはリフォームについてとなってます。

ここまでの固い話から少し離れます。
DIYのスケールアップなんかについてまとめてみました。よろしければ参照ください。



→リフォームについてへ
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